タレス (A.C. Grayling『The History of Philosophy』読書ノート (4))

哲学

この記事は、A.C. Grayling『The History of Philosophy』「パート1. 古代哲学: タレス」の読書ノートです。

概要

  • タレスは古代ギリシャの哲学者であり、前ソクラテス哲学者の一人。
  • 「哲学の父」と称されることも多いが、厳密にはそれ以前にも哲学的な思索は存在した。

生涯

  • 生年月日:不明
  • 活動時期:紀元前585年の日食を予測したことで知られる。この年が彼の活動の頂点(フロリウィット)とされる。
  • 出身地:イオニアのミレトス

主要な業績と思想

  1. 万物の根源(アルケー)としての水
  • タレスは、水が万物の根源であると考えました。
  • 理由
    • 水は液体、固体、気体の三態を持ち、あらゆる形に変化する。
    • 水は生命に不可欠であり、動植物の中にも存在。
    • ナイル川の氾濫が土壌を形成する現象などから、地球の生成に水が関与していると考えた。
  1. 合理的探求
  • タレスは伝統的な神話的説明を拒否し、観察と理性に基づいて自然の現象を説明しようとした。
  • 重要性:これは、科学的思考の始まりを示すものであり、彼が最初の哲学者と呼ばれる理由。
  1. 実践的業績
  • 日食の予測:紀元前585年の日食を予測し、天文学の知識を証明。
  • オリーブ圧搾機の逸話
    • タレスはある年のオリーブの豊作を予測し、全てのオリーブ圧搾機を借り上げ、その後、プレミアム価格で貸し出して利益を得た。
  • 川の渡し方の工夫
    • リディアの王クロイソスの軍隊が川を渡る方法として、川の流れを分岐させて渡る案を提供した。

哲学的意義

  • 科学と哲学の発展
  • タレスの合理的探求は、科学と哲学の発展において重要な役割を果たしました。
  • 観察と理性の重視
    • タレスは、自然の現象を観察し、それを基に理性的な説明を提供する方法を確立。
  • 対比:ヘシオドスの神話的説明とは対照的であり、観察と理性による説明の重要性を強調。
  • 魂の概念
  • タレスは、磁石が鉄を引き寄せる現象を「魂」の存在によるものと解釈。
  • アリストテレスの解釈:魂は運動を引き起こすものであり、タレスは「すべてのものは神々で満ちている」と考えた。

最期と遺産

  • 最期
  • タレスは、高齢で脱水症状により亡くなったと言われる。
  • もう一つの伝説では、星を観察している最中に井戸に落ちて亡くなったとされる。
  • 遺産
  • 彼の思想と方法論は、後の哲学者や科学者に大きな影響を与えた。
  • タレスの探求は、神話的な説明から科学的・合理的な説明への転換点を示している。

名言

  • 「汝自身を知れ」:タレスに帰される格言で、自らの無知を自覚することの重要性を説いている。

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