アンゾフの意思決定論

企業経営理論

アンゾフは戦略的意思決定について、「自然発生的な性質のものではなく、自動的にトップマネジメントの関心に上ってくるようなものではない。積極的に追求しなければ、いつまでも業務的な問題の背後に隠れてしまっている」と述べています。

つまり、経営層が企業の内部問題や組織問題などの管理的意思決定に忙殺されていると、戦略的意思決定で必要とされる非構造的な問題や外部問題に取り組めなくなるということです。

サイモンはビジネスにおける意思決定の種類を「定型的意思決定」「非定型的意思決定」に分けました。一方、アンゾフは意思決定の種類を、ビジネスの階層別に「戦略的意思決定」「管理的意思決定」「業務的意思決定」に分けています。

管理的意思決定や業務的意思決定と比較して、戦略的意思決定はより不確実性を許容しています。経営者は、こうした意思決定に際して、万全の準備や努力をしても不確定要素はどうしても残ってしまいます。つまり、「部分的には無知」である状態で臨まなければならないとアンゾフは述べています。

組織における意思決定

業務的意思決定

業務的意思決定とは、ロワー・マネジメントが主に従事する意思決定であり、日常的な経営活動の能率や収益性を最大にするための短期的、定型的な意思決定です。

管理的意思決定

管理的意思決定とは、ミドル・マネジメントが主に従事する意思決定であり、戦略的意思決定を通じて決定された経営戦略を実行するために必要な資源の調達します。また、戦略的意思決定と業務的意思決定の間に位置するものであると捉えることができます。

戦略的意思決定

戦略的意思決定とは、トップ・マネジメント(経営者)が主に従事する意思決定であり、今後の戦略についての長期的、非定型的な意思決定です。

例外の原則

経営者は、業務的意思決定や管理的意思決定から解放され、戦略的意思決定に専念できるようにする必要があります。

例外の原則とは、「経営者は日常反復的な業務の処理を下位レベルの者に委譲し、例外的な業務の処理(戦略的意思決定および非定型的意思決定)に専念すべきである」というものです。権限委譲の原則といわれることもあります。

また、定型的意思決定に忙殺され、非定型的意思決定が後回しになることによって、将来の計画策定が事実上消滅してしまうことを、計画におけるグレシャムの法則といいます。

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