この記事は、A.C. Grayling『The History of Philosophy』「パート1. 古代哲学: プラトン以前の哲学」の読書ノートです。
主題と概要
「プラトン以前の哲学」は、前ソクラテス哲学者を中心に扱っています。これらの哲学者は、世界の本質と起源についての疑問を探求し、自然哲学者(phusikoi)と呼ばれました。彼らは、神話的な説明ではなく、合理的な説明を求めた点で特徴的です。
前ソクラテス哲学者の特徴
- 関心の対象:前ソクラテス哲学者は、世界の本質や起源について探求しました。これは、倫理に焦点を当てたソクラテスとは対照的です。
- 名称の由来:彼らは、アリストテレスが「phusikoi」(自然哲学者)と呼んだことに由来します。
地理的背景
- イオニア:最初の自然哲学者たちはアテネではなく、エーゲ海東岸のイオニアから出ました。ミレトスはその中心であり、タレスがここで活躍しました。
- イタリア南部:次に重要な発展はイタリア南部のギリシャ植民地で起こりました。ピタゴラスはクロトンに移り住み、パルメニデスはエレアで活動しました。
主要な前ソクラテス哲学者
タレス
- アルケーとしての水:タレスは、水が万物の根源であると考えました。
- 実践的業績:日食の予測やオリーブ圧搾機のレンタルの逸話で知られます。
- 合理的探求:神話的説明を排し、観察と理性に基づいて宇宙を説明しようとしました。
アナクシマンドロス
- タレスの弟子であり、無限なるもの(アペイロン)を万物の根源としました。
アナクシメネス
- アナクシマンドロスの弟子であり、空気を万物の根源としました。
ピタゴラス
- 数と数学的関係が宇宙の本質であると説きました。
ヘラクレイトス
- 万物は流転する(「同じ川に二度入ることはできない」)と主張しました。
パルメニデス
- 存在と非存在の二元論を提唱し、変化や生成を否定しました。
エレアのゼノン
- パルメニデスの弟子であり、パラドックスを用いて変化や運動の概念に挑戦しました。
エンペドクレス
- 四元素(火、水、土、空気)を万物の根源としました。
アナクサゴラス
- 無限の種子(ホメオメリア)を提唱し、ヌース(知性)が宇宙を秩序づけるとしました。
レウキッポスとデモクリトス
- 原子論を提唱し、万物が不可分の原子から成るとしました。
哲学の移動と展開
- 哲学は初期にはイオニアで始まりましたが、後にイタリア南部やアテネに移り、プラトンやアリストテレスの登場へと続きました。
結論
前ソクラテス哲学者たちは、自然界の合理的な説明を求め、後の哲学や科学の基盤を築きました。彼らの探求は、神話から科学への移行を象徴しています。
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