今回は、コーポレート・ガバナンスと企業の社会的責任について説明します。
コーポレート・ガバナンス
株式会社 (特に現代の大企業) には、「所有と経営の分離」という特徴があります。
つまり、所有者である株主自らは企業経営を担わずに、所有者でない専門経営者に大幅な自由裁量の権限が与えられ、管理・運営を行っているのです。ここに「経営者に対するコントロールシステムの確立 (ガバナンス機関の設置) 」の重要性があります。
コーポレート・ガバナンスとは「企業統治、支配」という意味です。企業の基本政策を決める最高経営者を選抜する構造、さらに拡大して企業経営を監視する機能のことですね。
つまりコーポレート・ガバナンスは、誰が企業を統治し、監視するのかという企業統治権の問題と言えます。
企業の社会的責任
(1) 企業の社会的影響力
今日、企業の社会的責任が頻繁に論じられるのは、企業の社会的影響力が増大し、多数の人々・集団と利害関係を持つようになってきたからです。影響力を持つものが、その社会的影響力に見合った貴任を果たすことが社会から求められていると言えます。
(2) コーポレート・シチズンシップ
企業を社会の一構成員として捉えた、コーポレート・シチズンシップという考え方があります。
これに基づき、広報活動とは切り離して「企業が行う学術・文化支援活動 (メセナ) 」、あるいは直接的な利潤動機とは関係なく「企業が行う社会的貢献活動や慈善・寄付活動 (フィランソロピー)」が求められるようになっています。
(3) CSR (Corporate Social Responsibility = 企業の社会的責任)
CSR とは、利益の追求だけではなく、企業活動のさまざまな社会的な側面 (法律の遵守、環境保護、人権擁護、労働環境、消費者保護など) においても、バランスのとれた責任を果たすべきだとする経営の理念のことです。機関投資家が投資する際の選定基準ともなっています。
企業が社会的責任を果たしていることを評価しながら、企業に投資することを「社会的責任投資 (SRI) 」といいます。また、SRIと同様に企業の非財務情報、特に環境 (Environment)・社会(Social)・ガバナンス (Governance) 要素も考慮した投資手法として、近年「ESG投資」が拡大しています。
CSR まとめ
- コーポレート・シチズンシップ・・・「企業は良き市民でなければならない」「企業も市民と同じように社会活動をすべきである」という考え方
- セメナ・・・フランス語で「文化の雑談」という意味。文化、芸術に対する企業の様々な支援活動のこと
- フィランソロフィー「博愛」、「慈善」と訳され、企業の様々な社会貢献活動や慈善的寄付行為などを指す
- SRI・・・収益性などの財務的な観点のみならず、投資先の企業の社会性をも考慮して行う投資活動のこと。具体例として、エコファンドや社会貢献ファンドなど
- ESG 投資・・・従来の財務情報だけでなく、環境 (Environment)・社会 (Social)・ガバナンス (Governance) 要素も考慮した投資のこと
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