競争対抗戦略

企業経営理論

この記事では、コトラーの理論を中心に紹介しています。

成熟市場では、市場需要が停滞し、企業間の直接的な競争が重要になります。つまり、競争市場には一種のゲーム的な要素が強まっています。

競争市場には、他の競争ゲームと同様に定石的なルールが存在します。競争対抗戦略は、競争者数が安定し、市場における競争地位が確立する「市場の成熱期」において有効な戦略だと考えられています。つまり、成熟市場では競争対抗戦略を適切に展開することが重要です。

1. 競争対抗戦略(競争地位戦略)

競争対抗戦略を考える際には、まず自社の現在の市場における競争地位を明確にする必要があります。一般的に、コトラーの提唱に基づく「リーダー」「チャレンジャー」「フォロワー」「ニッチャー」という4つのタイプに分類する方法が採用されています。

(1) リーダー

当該市場において、最大のシェアを持つ業界最大手企業はリーダーとして位置しています。リーダー企業は一般的にオーソドックスな戦略を採用しています。彼らの目標は、業界内で最大の市場シェアを維持し、確保することです。そのため、彼らは市場全体を対象に戦略を立案します。

リーダーの戦略定石は、以下の通りです。

周辺需要拡大政策

周辺需要が拡大すれば特別なことがない限り、リーダー企業は既存のシェア分だけを獲得できます。

同質化戦略

同質化戦略は、「同質化戦略に持ち込めば規模の大きい企業が勝つ」という原則に基づく戦略です。具体的には、チャレンジャー企業が導入した差別化戦略に対して、リーダー企業がそれらを模倣・追随し、差別化の効果を無くしてしまう戦略です。

非価格競争戦咯

リーダー企業が価格競争に巻き込まれないということは重要な鉄則です。一般に、リーダー企業が価格競争に参入すると、他の競争相手もそれに追随せざるを得なくなります。そのような状況になると、業界全体の収益が低下してしまいます。また、リーダー企業のイメージも損なわれ、利益が減少し、その地位が危うくなります。例外も存在しますが、基本的にリーダー企業は価格競争を行う必要はありません。

最適市場シェア維持

最適な市場シェアを維持することにより、リーダー企業はチャネルカバレッジや最適な広告費、販売員の配置などを最適な水準に保つことができます。これにより、企業は効果的なマーケティング活動を展開し、市場での競争力を維持することができます。

(2) チャレンジャー

チャレンジャー企業は、リーダー企業の地位を狙っており、将来的にはその地位を目指す企業です。通常、業界内で2番目や3番目の地位に位置しています。チャレンジャー企業は徹底的な差別化戦略を採用し、顧客ニーズや独自の能力を活かしてリーダー企業との差別化優位性を築こうとします。

(3) フォロワー

フォロワー企業は、リーダーやチャレンジャー企業が持つ優れた市場戦略を模倣することによって、比較的低コストで市場に存続する企業です。

(4) ニッチャー

ニッチャー企業は、市場内の特定のニッチ(隙間)を見つけ、その特殊な市場において独自の地位を築こうとする企業です。ニッチャー企業の戦略は、リーダー企業、チャレンジャー企業、フォロワー企業とは直接的に競合しないという特徴を持ち、自社が持つ独自の能力を集中的に活かすことで強みを発揮します。

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